あづみのメモ帳

6ピンRGBファンをマザボから制御できるようにしてみた

以前サーバ用PCを静音化したが、相対的にメインPCがうるさいことに気づいた。メインPCのケースファンにはEZDIY-FABのRGBファンが使われている。通常の3-4ピンファンではなく6ピンで、専用のハブに接続してリモコンでファン速度と色を変更できるよくあるやつ。しかしながら、リモコンを紛失したうえ、いろいろいじっていたらハブを破壊してしまった(短絡したかなにかでヒューズが逝ってた)。そこで、マザーボードから通常のファンのようにPWM制御でき、色もマザーボードからARGBで制御できる、もとより便利なファンハブを自作してみた。

ファンの仕様

ピンアサインはハブの基板に印字があり、以下のようになっていた。別のメーカーでもだいたい同じっぽいが、違うところもあるので注意。

ピン機能
1+12V
2GND(ファン)
3GND(LED)
4RGB IN
5+5V
6 (ケーブル側黒線)RGB OUT

PWM入力はないため、ファンに与える電圧を変えることでファン速度を制御する必要がある。回転数出力はない。

また、RGBにはINとOUTがあるが、これはアドレサブルRGB(ARGB)のデイジーチェーンに対応している。ARGBではRGBの値を連続で送信し、個々のLEDが先頭の値を読み取って色を変え、残りの部分をそのまま次のLEDに流すことでデイジーチェーンを実現している。

コネクタは2 mmピッチで、おそらくPHコネクタだと思われる。

ファン制御

マザーボードが電圧による制御に対応していれば直結するだけでよいのだが、あいにくPWM制御しか対応していないので、PWM信号を受け取って電圧を変動させる必要がある。

ブラシレスDCモータではあるが、普通のDCモータのようにPWMで疑似的に電圧を上下させることでとりあえず制御できるっぽい。無難にMOSFETでローサイドスイッチングする。ファンとLEDとでGNDが分けられている(というか印字は「F」だった)あたり、もとのハブでもおそらく同じことをしている。なお、回転数出力のある通常の3ピンファンをローサイドスイッチングすると、回転数出力がおしまいになるので注意。オープンコレクタ出力らしいのでハイサイドスイッチングすれば使えるはず。

もとのハブでは電源をSATA電源から取っていたが、1基あたり0.23 A(と書いてあるが実際は0.15 Aくらい)しか消費しないものを4基しかつながないので、普通にマザーボードのファン端子(取説によれば1 Aまで可)から取ることにした。

Intelの仕様書(後述)によれば、マザーボードのPWM信号はオープンコレクタで、ファン側でプルアップしろとされている。3.3 V推奨で5.25 Vまで許されるらしい。5 VならRGB側に来ているが、ファンの12 Vだけでも使えるようにしたいので、どうにかしてプルアップの電圧を作る必要がある。DCDCコンバータで3.3Vを生み出すのが確実だが、ただプルアップするだけにはちょっと大げさなので、単純に抵抗で分圧することにした。短絡せずに電圧が変わりさえすればいいので、これでも問題ないはずである。10 kΩと4.7 kΩでだいたい3.8 Vを作った。常時電流が流れて電力が消費されてしまうが、10 mWくらいはファンの電力に比べたら誤差。

ちっちゃくて2.5Vでオンになってくれる都合のいいMOSFETが転がっていたので、信号をそのままゲートにぶち込んでやれば完成。ファンの中にあるっぽいのでたぶん不要だが、還流ダイオードをお守りでつけておく。

RGB制御

もとのハブではRGBの電源もSATAから取っていたが、1基あたり8つのLEDがついてるものを4基の計32個しかつながないので、これもマザーボードのARGB端子(75個まで可)から取ることにした。信号はマザーボードからのを1つめのファンのみに繋ぎ、そのOUTを次のINに繋ぐことを繰り返せばよい。

基板にまとめる

ブレッドボードで動作確認した後、ユニバーサル基板上にまとめた。出力コネクタは壊れたもとのハブから抜き取った(L字のをまっすぐにするのが大変だった)。こっちのピッチは2 mmだが、入力はマザーボードと同じく2.54 mmとしたいので、両方を混載できる2.54 mm x 2 mmピッチ基板を使った。はんだ付けnoobに2 mmピッチはしんどかった。

ユニバーサル基板で作るものをKiCadするとひどいことになる
2024年09月02日 22時48分
終わり!
いくつかやばそうな場所あるけどテスターさんによると大丈夫らしい
2024年09月04日 16時43分

使う

実際に接続して使ってみた。個体差があるが、このファンは40%あれば始動できる模様。仕様を満たすには30%で始動できなければならないが仕方ない。回転数は得られないのでファンが回っているかどうかは目視で確かめなければならない(蓋が透明のケースでよかった)。ファン自体は流体軸受だったり防振ゴムがついていたりして全速でも比較的静かではあったが、回転数を落とせると風の音も低減できて非常によい。通常のファンはデューティー比を0%にしても停止してくれない(するものもある)が、こいつは全域でデューティー比に従おうとするので、再始動に必要な電圧に注意すれば、セミファンレス運用も可能である。もともとPWM制御に対応しているファンであっても、停止できるようにこの回路を噛ます手があるかもしれない。

ファンの制御はFan Controlを使ってみた。wingetからインストールできる。始動電圧と停止電圧を設定でき、停止状態から始動電圧を下回る指示に移行したときに、一定時間(2秒間?)始動電圧を出力する機能があるので、このような場合にも対応できる。

RGBはもともとなくてもよかったのだが、せっかくついてて使えるようにしたので、とりあえずかわいい色でぼんやり光らせておいた。単色なのでデイジーチェーンは活かせていないが、使おうと思えば使えるというところに意味がある。

付録: Intelの4ピンファンの仕様まとめ

電気的仕様

電源
12 ±5% V
定常最大 1.5 A
瞬間最大 2.2 A (1秒間)
回転数出力
2パルス/回転
オープンコレクタ
マザーボード側は12 Vプルアップ
PWM入力
25 -4 +3 kHz
LOW入力電圧 0.8 V
最大電流 5 mA
最大5.25 Vでプルアップ(3.3 Vを強く推奨)
マザーボード側はオープンコレクタ

PWM制御

そのほかは原本を参照

あとがき

同じメーカーの似たようなファンで、もとからPWM制御できるバージョンもあるらしい(絵からして回転数出力はなさそう)。これは自分で組んだPCではないのだが、全速で固定というならまだしも、中途半端にリモコンだけ対応しているハブを売る意味も選ぶ意味も分からない。ゲームをするときはリモコンで回転数を上げて、終わったら戻して、みたいな運用をする人類が実在しているのだろうか……。