「1645」を音割れさせてみた
「1645」の音源を実際の放送のように加工したり、音源の変遷について調査してみたりした。
「1645」とは
みなさんご存じかと思われるが、そもそも「1645」とは何かについて一応説明しておく。防災行政無線では、試験放送、および時刻を報じる目的として、毎日決まった時刻に音楽を流すことが一般的である。平凡な自治体であれば17時とかに「ウエストミンスターの鐘」とかを鳴らす。しかし、電通大のある調布市では、16時45分という中途半端な時刻に調布市民の歌である「わが町調布」が流れる。この時刻の中途半端さから、電通大生の間では「1645」として親しまれて(?)いる。
この「わが町調布」、調布市公式サイトで歌の音源だけでなく防災無線バージョンの音源まで公開されている。
音割れ1645
音源とは異なり、実際に防災無線子局から流れる「1645」では、一部の音が強烈にでかく聞こえる。この動画は極端な例である。これはアナログ無線時代のものだが、デジタル化された現在でも似たような傾向がある。全体的に音割れしているというよりは、特定周波数で共振を起こしていると推測される。今回はこの動画のような音の再現を試みた。
まずは共振が起こる周波数を特定する。絶対音感は持ち合わせていないので、WaveToneにぶちこんで周波数を確認する。1200Hzと800Hzあたりが怪しい。400Hzの倍音? みたいなやつ?(なんもわからん)
最近機械力学の講義で強制振動の共振曲線だか周波数応答曲線だかをやったが、あんな感じでこの周波数周辺をぶち上げてやれば再現になるはず。ffmpegのフィルタを用いてこれを実現し、再生するのが以下のコマンドである。equalizerで1200Hzと800Hz、ついでに400Hzも雑に持ち上げている。そのままでは特に最後の「ちりばめる」のあたりで耳が破壊されるため、alimiterで限界ちょい越えくらいに抑えてやりほどよい音割れにしている。ffplayをffmpegに置き換え、最後に出力ファイル名を追加してやれば加工後の音源を保存できる。なかなかいいかんじになったのではないかと思う。
ffplay -i 'https://www.city.chofu.lg.jp/documents/221/wagamachichofu_1.mp3' -af equalizer=f=1200:t=h:w=100:g=20,equalizer=f=800:t=h:w=100:g=20,equalizer=f=400:t=h:w=100:g=10,alimiter=level_in=0.9:level_out=1.1
なお、ffmpegはWindows環境ではwinget install ffmpegで容易にインストール可能である。パスも勝手に通る。音源を再配布するのはどうかと思うので、聞きたい方は各自で実行してみてほしい。また、公式サイト上のファイルを直接取りに行くコマンドなので、短時間で繰り返し実行する場合はローカルに保存してそのパスを指定したほうがいいと思う。耳に支障をきたしても責任は負わない。
1645の変遷
実はコロナ禍は「1645」にも影響を及ぼしている。自分は電通大入学前、コロナ禍前からちょくちょく調布を訪れる機会があり、先のような音割れ1645(とは呼んでいなかったが)を聞く機会があった。しかし、入学後に聞いてみると記憶と違うものになっていた。いつのまにか短縮バージョンになっており、さらに音量が下げられていたのである。信憑性は謎だが、YouTubeのコメントによれば、『テレワークで働く方への配慮として』が理由らしい。最近元に戻った。
30秒バージョン
おそらく放送には使用されていない。
前奏なしで「楠のみどりに」から始まり、「多摩川も」のちょっと後までしか入っていない。2021年11月6日の時点では公式音源がこれに差し替えられていた(アーカイブ)。リンク元のページにおける最終更新は9月27日と表記されていた(アーカイブ)。音源作るときに長さ間違えたのかな🤔
20秒バージョン
2021年10月22日の時点で使用されていた。2021年7月15日にもそれっぽい報告がある。YouTubeのコメントによれば、2021年7月12日から使用されているっぽい。
前奏なしで「楠のみどりに」から始まり、「夢ねむる」までしか入っていない。鳴ってることに気づくのすら困難な音量だった。
フルバージョン
短縮前は2021年5月13日、復活後は2023年10月5日時点で使用されていた。
前奏から始まり1番の終わりまで入っている。復活後の音量はコロナ前よりはちょっと小さいかも? 4限終了は1610で鳴る前に脱調しているので気づくのが遅れたが、16日に帰宅が遅れて聞くことができ、けっこう驚いた。少し遅れて公式音源も復活した。
そのほかの防災行政無線チャイム
狛江市
調布市のお隣。17時に狛江市民の歌「水と緑のまち」が流れる。音量は小さめ。こっちも公式音源の配布がある。合唱版がノリノリで好き。小田急線狛江駅の接近メロディも同じ曲の似たアレンジで、同時に鳴るとこんがらがる。
川崎市
調布市と狛江市のお隣。鳴動時刻は17時で、曲は年3回変わる。音量は馬鹿でかい。時刻が同じなので多摩川河川敷のちょうどいい場所(覚えてない)に立っていると狛江市と混ざって愉快なことになる。多摩水道橋で試したら狛江市側がよわすぎた🥺
時報ではないが、川崎市にも川崎市民の歌「好きです かわさき 愛の街」があり、ゴミ収集車のチャイムとして有名。残念ながら公式音源配布はないが、代わりに(?)DAMに収録されている。わが町調布と水と緑のまちも欲しいな。
富士市
12時と17時に鳴る。昔は7時にもあって寝起きで聞いてた記憶があるがいつのまにか消えてた。普段は「ウェストミンスターの鐘」で、なぜか日曜日だけ「富士の山」になる。
富士宮市
12時と16時に鳴る。こちらは常に「富士の山」だったはずが、いつの間にか(16時だけ?)市歌になってたらしい。
あとがき
いかがだっただろうか。電通大っぽいといえばぽい話題だったかもしれない。あやふやな情報源だがある程度のまとめにはなってると思う。ちなみに、UEC 2 Advent Calendar 2023が12月1日朝の時点では埋まっていなかったので、書き上げるまでに空いていればそこにぶち込もうと思ってたが、幸い(?)別の人が埋めてくれた。
